特徴と逸話
AK-47は信頼性が高いことが最大の特徴であり、扱いが多少乱暴でも確実に動作する。これはミハイル・カラシニコフが設計の段階で変化に富んだソ連の気候を想定し、部品同士のクリアランスを大きめに取り、多少の泥や砂、高温または寒冷地における金属の変形、生産時の技術不足による部品精度の低下が起きても、問題なく動作するよう考慮したためである。故に極寒地や砂漠地帯の兵士からも信頼が寄せられている。特に機関部は、内側に泥や砂などが入っても、軽く水洗いすれば射撃できるほどである。以下に特徴を挙げる。
<ユニット化と故障の少なさ>
内部の部品は極力ユニット化されており、野外で分解する際に部品を紛失したり、簡単に故障したりしないように工夫してある。このような銃の頑丈さや簡素化は同時に兵士の負担も減らす。銃を扱うのが初めての人間でも数時間から数日間の講習を受ければ、100m先の標的に命中させられるようになるという。
<初期の曲銃床とマズルジャンプ>
マズルジャンプとは、弾丸が銃口から飛び出した瞬間に銃口が跳ね上がる現象で、射撃時の反動から生じる。この現象は通常の銃であれば程度の差はあれ必ず生じるが、初期のAK-47は曲銃床であったため、反動を直に受け止めにくく、マズルジャンプが起こりやすかった。
フルオート射撃時には連続的に反動が生じるため、銃口が連射とともに徐々に跳ね上がり、狙いを定めるのは困難になる。同様の例はアメリカ軍に採用されたM14でもあり
[津野瀬光男 『幻の自動小銃―六四式小銃のすべて』 光人社〈光人社NF文庫〉、2006年。]、M14は後のM14A1で、AK47ではAKMでいずれも直銃床に変更され、より反動を受け止めやすく、制御しやすい構造
[AKMは銃口先端を斜めに切ったマズルブレーキで銃口の跳ね上がりを軽減している。]に改良されている。
<民族自決と革命の象徴>
第二次大戦後、弾丸がAK47と共通する以外は独自設計のVz 58を採用したチェコスロバキアを除くワルシャワ条約機構加盟国や中国・北朝鮮などで採用されて東側を代表する火器となった
[旧東側に近いとされた非同盟諸国においても、リビアやインドではFN FALが、ミャンマー(ビルマ)ではH&K G3が採用されるなど、AK47系統を主力小銃としなかった国も少数ではあるが存在する]。
武力によって独立を勝ち取った国や政権を奪取した政府にとって、AKは戦乱を戦い抜いた頼もしい戦友であり、自主独立の象徴でもある。このため、モザンビークやジンバブエ、東ティモールの国章にAK-47の図柄が組み込まれているほどである。特にモザンビークでは、国旗にもAK-47のデザインが取り入れられており、国家以外でもレバノンのヒズボラやコロンビアのFARCなどが組織の旗にAK-47の図柄を取り入れている。
<ベトナム戦争での活躍>
ベトナム戦争では、ソビエト連邦や中華人民共和国から、北ベトナム軍(NVA)や南ベトナム解放民族戦線(NLF,ベトコン)に向けて大量のAKが送り込まれた。戦場は熱帯雨林を中心とする過酷な環境であったが、AKはその中でも確実に動作した。
アメリカ海軍の特殊部隊「SEALs」でも鹵獲品を使用する例があった。
<中東やアフリカでの流通>
中東では、アメリカが1980年代にムジャーヒディーンに対し武器援助をした際、不正規品の購入に資金を与え、AK-47がこの地域に大量に出回る結果となった
[鹵獲された西側製の武器(例:CIA FAL)や通信機器などが「不正関与の証拠」として国連安保理などにソビエトや旧東側陣営から提出される事例が多かったことや、西側製の武器類が精巧ゆえに高価かつ使用・整備が難しかったことから、ソ連から膨大な援助を受けながら西側へ鞍替えしたエジプトや、日本製の工作機械や材料を入手し易かった1970年代の北朝鮮や、日本の援助を受けて工業水準が上がった中国などが、武器輸出市場へ本格参入してから、AKに代表される東側装備の入手が容易となり流通量も激増した。
]
現在でも、イラク戦争における北部クルド人勢力にはもっぱらロシア製装備が供与されているほか、治安部隊へ供給されている装備の大部分は安価な中国製小火器であり、イランなどがイラク各地のシーア派武装勢力に供給している兵器の多くも中国製である。。アフリカ諸国においては、1960年代の独立闘争の際や、冷戦終結後、東欧諸国などから流入したAKがあふれて、それが内戦の終結を難しくしている一因となっている。
現在、アフガニスタンやイラクで活動している特殊部隊や民間軍事会社(PMSCs)の社員には、M16系ではなく7.62mm口径のAKを使う者も多い。これは信頼性のみならず、7.62mm口径の高威力や、弾薬と部品の補給が容易だからでもある。特にPMCは軍に比べて部品の供給が遅いため、故障・破損しても即座に修理・代替することができるAKの人気は高い。
<大量破壊兵器のレッテル>
ソビエト連邦は冷戦期、東側友好国に対して大量のAKを供与した。また、一部の国々に対してはライセンス生産も認めた。このため、7.62mm口径のAKは莫大な数が生産されており、世界で最も大量に生産された小銃といわれている。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの調査によると、非正規品を含め約1億丁ほど出回っている。AKはアフリカなど一部の地域では30ドル以下でも購入でき、多数の武装勢力による紛争、テロリスト等に使用され発展途上国で多大な被害をもたらしていると報告した
[国際事務局]。調査報告書は「AK-47:世界最強の殺人マシーン('''')」と題され、「人類史上最も人を殺した兵器」とも、「小さな大量破壊兵器」と称される事がある。
<模造品の氾濫>
テロリストや傭兵(非戦闘員)が使用しているのは、ほとんどがAK-47の非正規・コピー版である。中国の中国北方工業公司はライセンス切れのため、改造箇所を根拠に自社製品としてAK系を製造し続けていて、中には民間向けのスポーツ射撃用のものまである。2008年11月、インド・ムンバイ市で発生した同時多発テロでも、犯人グループ「デカン・ムジャヒディン」
[その正体はパキスタンのイスラムテロ組織「ラシュカレタイバ」であると報じられている(NHK、JNN、産経新聞他)。]の使用していたAK-47は中国製であると報じられた
[NHK報道による]。
2006年時点で、AKの製造ライセンスを持つのは、カラシニコフが籍を置く後述のIzhmash社のみだが、過去にAKのライセンス生産を行っていた国々の大半は製造を継続しており、輸出も行なわれている。さらにAKは構造が単純で、部品の誤差を許容する設計から密造品も多く、これら不正規品を含めたAKの総数は1億丁を超えるのではないかと推測されているが、正確な規模は把握されていない。
日本においてもオウム真理教が発展型であるAK-74を基に密造(自動小銃密造事件)が発覚したが、銃身内径を正確に切削できず、発射に危険が伴う水準のもので、警察の追及もあって量産には至らなかった。
2004年、85歳の誕生日を前にカラシニコフは「中国などがライセンス切れにもかかわらず、AKの製造を続けている。それが紛争地に出回り、AKの評価を落としているのは悲しいことだ」と朝日新聞の取材に回答している。
Izhmash社のウラジミル・グロデツキーは、2006年の製品発表会で「ロシア製のAKは世界全体に流通しているうちの12%程度」と発言している。
パキスタンの連邦直轄部族地域に在るダッラ村では、旋盤などの簡単な工作機械しか持たない「村の鍛冶屋」のような工房で製造されているが、正規品と異なる材質の鋼材を用いているため耐久性に難があり、連射で銃身が加熱すると溶けはじめてしまう水準の製品である。
また、傭兵の高部正樹はルーマニア製のAKM(AIM)はマガジンの着脱に難があり、何弾倉分かを連射するとバレルが曲がってくるなどの問題があり、酷評されていたと語っている。